「田舎のおばあちゃんの家のような温かみのあるお店」オーナー様のお店づくりのテ ーマは明確でした。共にアイデアを出し合いながら、新たなお店づくりが始まりまし た。

このテナントは築年数が古く何度も改装されており、建物そのものも改築を重ねてい ました。内部を解体すると予想通りあちこち補強を入れる必要がありました。強度を考 えながら席数も確保するという命題に取り組んだのです。テナントは住宅よりも人数 が多く入る可能性が高いため、２階の床の補強は特に慎重に行いました。 内装については、杉や桧の無垢材をふんだんに使い親しみのある優しい空間を演出 しました。

なかでも新たに加えたカウンターテーブルは、温かさを表現するために、絶妙な節の あるものを選ぶとともに、木の自然な湾曲をそのまま生かすことにしました。使用した 木材は、巾80ｃｍ長さ４ｍを超える面皮付きの杉板で、滋賀県の製材所で見つけ出 し、荒木から製材加工を行い、熟練大工の手作業で仕上げて取り付けました。お客様 が席に着く時、美しい曲線の木に手を触れ、その柔らかさに懐かしさを感じ、美味しい 料理を楽しんでいただける優しいカウンターテーブルの完成です。

ほかにも、店内の壁はオーナー様こだわりの左官職人の手作業による聚楽壁、２階 の床は、「おばあちゃんの家にあったなー」という雰囲気の赤い絨毯で仕上げました。

訪れるお客様に、懐かしい田舎とおばあちゃんを思い出していただけるような、温か みのあるお店を造らせていただきました。

N 様邸は築１００年程の、古民家独特の建築美をもつ住宅でした。

古民家をこよなく愛するN 様の想いを大切にするために、「古都の風を楽しむ家」を テーマに既存の状態を極力活かしながら、リノベーションを行いました

既存の建物は間取りや使用している当時の材木や建具がとても魅力的でした、その 反面、築年数による建物の傷みもあり修繕必要箇所も多くみられました。

特に１階の床に関わる土台や柱の腐食が激しく、床や天井が大きく傾いている箇所 がありました。ジャッキアップで床を水平にして土台や柱をやり直し、必要な箇所に補 強を入れながら、大工の知識で安全に暮らせるように見えないところもしっかり修繕し ました。
新たに造作する部分には無垢の木に古木色風の染色を行い全体のバランスを整え ました。

寝室は日当たりの良い２階南側の部屋を選びました。この部屋の天井は雨漏れによ る損傷が激しかったので既存の天井を撤去しました、すると屋根裏からは丸太の梁 が顔を出しました、この丸太はデザイン的にも美しく眺めていたくなる面白さがありま す。そこで屋根裏の断熱工事をしたうえで高天井としました。照明も間接照明で天井 の空間に広がりを与え、実際の大きさよりもゆとりのある空間にすることができまし た。

新たな和の空間を引き立てるテーブルや椅子、ベッドなどの家具もご提案させていた だき、さわやかな風が家中に静かに流れる「古都の風を楽しむ家」が完成しました。

このマンションリノベーションは、子供が巣立った後、家をご夫婦２人だけの特別なも のにしたいというご依頼でした。

２人の趣味や1 日の過ごし方などを、時間をかけてヒアリングを行い、「音楽と本を楽 しむ家」というテーマのもと、リビングを特別な空間に演出することにしました。

まずリビングに入る前のドアからこだわりました。部屋のドアを１枚ずつ好きな色に塗 るのです。少しずつ色を足していき、２人の好きな色を一からつくりあげました。全て の部屋のテーマに合わせた、どこにもない２人だけのドアができあがりました。

リビングの天井は勾配天井とフラット天井を織り交ぜ、間接照明の明りで優しく室内を 包み込みます。

床はご主人様お気に入りの既存のウッドブラインドに合わせ西南桜の無垢フローリン グで仕上げました。

正面の壁面は、ご夫婦に選んでいただいた石板を貼って本を際立たせ、本棚の支柱 はランダムに並べて、まるで楽譜のようにしました。音楽で包まれ物語に浸る、夫婦で 別の本を読んでいても同じ空間で楽しむことを共有する、そんな家づくりを目指したの です。

リノベーション後、お施主様から「家に帰るのが楽しみでしかたない」とお言葉をいた だいたのが、何よりの喜びとなりました。